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デミー博士と行く軍艦島上陸ツアー!行き方から見どころポイントまで徹底解説!【軍艦島クルーズ体験レポート最新版】

デミー博士と行く軍艦島上陸ツアー!行き方から見どころポイントまで徹底解説!【軍艦島クルーズ体験レポート最新版】-1

長崎観光をするなら、「一度は行ってみたい!」と言われる島…それが「軍艦島」正式名称は端島(はしま)です。

今回は軍艦島の研究者、長崎大学の出水 享(でみず あきら)先生、通称「デミー博士」と一緒に上陸クルーズに参加し、土木的な知見から「見どころポイント」を解説していただきました。

軍艦島上陸クルーズ体験レポート最新版です!

軍艦島ってどうやって行けばいいの?

軍艦島に行くには、「軍艦島上陸クルーズ」を利用します。

現在5社の船会社が上陸クルーズを運航しており、事前予約が必要です。
出港場所、出港時間、所要時間、料金が異なりますので、観光のスケジュール等に合わせてお選びください。

写真は、「軍艦島コンシェルジュ」のクルーズ船「ジュピター」号です。

下記の特集ページで各社のWEBサイトや連絡先、上陸時の注意事項等も記載してありますので、チェックよろしくお願いします!

軍艦島コンシェルジュのツアーを利用してみた!

前年度に軍艦島デジタルミュージアムを取材した流れで、今回は軍艦島コンシェルジュの上陸ツアーに参加しました。
ツアーは1日2便(午前10:30発 / 午後13:40発)
荒天時を除き、年中無休で毎日催行されています。

発着所は長崎港「常盤(ときわ)ターミナル」です。(長崎港松が枝国際ターミナルのすぐそば)
五島行きのジェットフォイル・フェリーが運航している「長崎港大波止ターミナル」と場所が違いますのでご注意を!

「軍艦島デジタルミュージアム」が受付場所です。

ご同行いただいた「デミー博士」とは?

デミー博士は長崎大学工学部の土木学者です。「土木工学と広報の専門家」として土木・建設業のPR活動や、世界遺産・軍艦島の調査研究を15年以上にわたり、行っています。

最近では、”土木インフルエンサー”として、YouTubeでの動画配信や、全国放送のテレビ番組にも出演もされているので、ご存知の方もいらっしゃるのでは?

軍艦島に興味を持ったきっかけは、大学生の頃、初めて海岸から見た島のシルエットに感動したことなのだそうです。実際に上陸した時には、予想以上に進んでいる老朽化に驚き、自分の持つ土木知識を活かして島を守りたいと、軍艦島研究に尽力されています。

そんな中「老朽化から建物を守ることはできないが、綺麗な海を維持することで、大好きな風景を守ることができる」と考えたデミー博士は、現在「team長崎シー・クリーン」を立ち上げ、地元の方々や子供達も巻き込んで、大規模な海岸ゴミ拾い活動などを実施しています。

乗船時間は約45分!到着まで軍艦島について学びます

長崎港から軍艦島に到着するまで、約45分のクルーズとなるのですが、船内ではツアーガイドさんの興味深いお話や、映像資料が楽しめます。ガイドさんによってお話の内容が違うそうなので、機会があれば、何度も乗船してみたいなと思いました。

【デミーPoint1】クルーズ途中に観れる「中ノ島」

デミー博士
 
 

「あそこに見えるのは、中ノ島です。中ノ島は軍艦島より以前から石炭を採掘していた場所で、現在は岩礁ですが、石炭を採掘しているときは軍艦島のように島の周囲が護岸で囲まれており、建物があり人が住んでいました。しかし、石炭の採掘を止めたあと、島自体をほったらかしにしたので護岸がなくなり、元の岩礁に戻ってしまったわけです。軍艦島をほったらかしにしてしまうと、中ノ島のようになってしまいます。」

元々、軍艦島が岩礁だったことは、キャラクター「軍艦島のガンショーくん」の存在で知っていましたが、保守を続けていかないと、また元の岩礁に戻ってしまう…それが自然の摂理とはいえ、ちょっと切なくなるお話ですね。

中ノ島は当時、軍艦島で亡くなられた方々の火葬場としても使われていたそうです。

軍艦島に近づいてくると、ぐるりと周囲を一周!

軍艦島に近づいてくると、1F後方デッキへの移動許可が出ます。間近で見る軍艦島は迫力満点!
島の周りを一周したあとは、反対側の人も写真を撮りやすいように、今度は反対回りで島を回ります。

島内上陸後は、安全と文化財保護の観点から、指定されたエリアのみを見学することになりますので、この時にさまざまな角度から撮影を楽しみましょう。

「ドルフィン桟橋」を渡って、いよいよ軍艦島に上陸!

島に到着したら「ドルフィン桟橋」を渡って上陸します。これは堤防がない沖合に杭を打ち込んで作られた係留施設で、1954年完成の初代から数え、現在のものは三代目となります。

ツアー最初の見学地「第一見学広場」には、左側の短いトンネルをくぐって向かいますが、そこにある扉は、住居エリアにつながる地下道の入口だったそうです。

第一見学広場

ガイドさんの指示に従い、第一見学広場に到着しました。真っ先に目に留まるのは、古代遺跡の柱のように並ぶ「ベルトコンベア台座跡」ではないでしょうか。これは石炭を貯炭場や、運搬船まで運んでいた施設だそうです。

その奥に見える白い建物は「端島小中学校」、その左の黒い建物は「65号棟」…実写版「進撃の巨人」のロケ地としても知られています。この建物にはエレベーターもなかったそうですが、10階には当時で日本一高い位置にある保育園があったそうです。

【デミーPoint2】軍艦の形に見えるのは海底の地形が生み出した奇跡の産物

デミー博士
 
 

「目の前の大きな岩山を見てください。これが本来の岩礁です。軍艦島は、元々岩礁による小さい島でしたが、島の繁栄とともにその周囲に6回以上にわたる埋立工事が行われ、島と護岸の拡張が行われています。つまり、今私たちが立っているこの場所は埋め立てられた場所なんです。軍艦島が軍艦の形に見えるのは海底の地形が生み出した奇跡の産物だと思っています。何故なら埋め立て工事を行う時は、浅い場所を行ったほうが工事がやりやすく、費用を抑えられます。つまり、浅い場所を埋め立て続けた結果、現在の形になったというわけです。岩山は南北に延びてますが、その東側と南側には炭鉱関連施設、北側と西側および山頂には居住施設があります。」

第二見学広場

第二見学広場に入ると、赤レンガの建物が目の前に!竪坑のワイヤーを巻く「巻座」の跡、のちに倉庫として使われていた建物です。また、赤レンガの建物の裏側にある白い枠の建物が端島炭鉱の「総合事務所」で、鉱員達が仕事前のチェックをしたり、たばこを吸って一息ついてから、過酷な現場へと向かっていた場所です。

右端は、採掘現場への入口「第二竪坑入坑桟橋跡」…この見学部は端島炭坑の中枢部分です。その左側の階段でつながった建物は、鉱員のお風呂があった場所。真水は島外から供給していたため、当時はお風呂のお湯も貴重なものでした。

世界遺産登録のポイントになった 【天川(あまかわ)工法の護岸】

軍艦島は世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産のひとつですが、世界遺産の価値は、島の礎(いしずえ)であるこの護岸にあります。

明治時代、石灰と赤土を混ぜた「天川(あまかわ)」と呼ばれる接着剤を使った石積みの護岸は、長い間波に揉まれながらも島を守り続け、特有の景観を形作っています。この護岸は、第二見学広場で目を惹く赤レンガの建物の対面に見ることができます。

世界遺産登録のもうひとつのポイントは「明治期の坑口(海底坑道)」ですが、そちらは立ち入り禁止のため、直接見られる世界遺産登録ポイントは、この護岸のみとなります。

【デミーPoint3】軍艦島にとっての護岸の大切さ

デミー博士
 
 
「軍艦島の周囲には長さ約1.2km、高さ10m以上の城壁のような護岸が構築されています。しかし、大シケ時には、護岸をはるかに超える高潮に襲われ、その潮の高さは7階建ての建物すら乗り越えたといわれています。現在の護岸はコンクリート構造ですが、大正末期までは石積み護岸でした。護岸はたびたび襲来する台風の高潮により破壊され、その度に補修・補強が繰り返し行われてきました。1956年の台風では、南側と西側の護岸が約100mにわたって崩壊し、桟橋の流失、木造の商店街が全壊しました。1991年の台風では、北東部の端島小中学横の護岸が崩壊し、建物下の土砂が流出し、大きな穴ができるとともに建物の基礎杭が剥き出しになりました。その後、護岸は再構築され、護岸の外側に補強用のコンクリートが設置されました。紹介したのは被害の一例に過ぎませんが、軍艦島の歴史は海の脅威との戦いといえます。」

第三見学広場

いよいよ最後の見学地点「第三見学広場」に到着しました。

日本最古の鉄筋コンクリート造りの7階建てアパート「30号棟」(写真右)が正面に見えます。この建物は、軍艦島の歴史を語るうえで重要な核となるものです。中庭に吹き抜けの廊下と階段があり、採光や風通しに優れたモダンなデザイン!地下には売店もあったそうです。

30号棟の左は「31号棟」。台風などによる高波に備えて、窓を小さくするなど工夫され、31号棟が防潮棟を兼ねていた様子が伺えます。既に耐久年数を超えてるため、どちらの建物もこの姿をいつまで見られるのかは定かではありません。

【デミーPoint4】急速に加速する老朽化

デミー博士
 
 

「島内に立ち並ぶ建物群は、建設当時から雨風や潮風に晒され、無人島になってからはメンテナンスも行われてないので、建物の至る所にひび割れが発生し、場所によっては、錆びてボロボロになった黒い鉄筋が剥き出しになっています。老朽化が何故起こるかというと、長い年月をかけてコンクリート表面から潮(塩)などが侵入し、その影響で内部の鉄筋が錆び始め、腐食が進むにつれて鉄筋の体積が膨張し、その膨張圧によって鉄筋を覆っているコンクリートを押し広げて、ひび割れが発生します。場所によってコンクリート表面が剥がれ落ちて鉄筋が剥き出しになります。剥き出しになった鉄筋は、水、塩に直接ふれることになり、さらに腐食が加速し、ボロボロになります。こうして軍艦島の老朽化は、急速に加速しているんです。」

上陸見学は約45分

上陸ツアーは、他の船会社のツアーも並行して行われるため、各見学広場を駆け足で回る形となりますが、ポイントごとにガイドさんの詳しい解説がありますので、充実感はたっぷり感じられます。

今回はガイドさんの話に加え、デミー博士による土木知見からの解説も聴くことができ、軍艦島についての興味や知識がさらに広まりました!島について色々知ってからツアーに参加すると、上陸した時の感動がさらに増してくること間違い無しです!

お天気が良くても上陸できないときもあります、そんなときには…

軍艦島上陸は、長崎市条例をはじめ、船会社の運航基準に基づき、気象、海象情報を勘案して決定されます。港内が穏やかに見えても当日の気象・海象の現況によっては、軍艦島への上陸ができない場合もあります。

「せっかく来たのに残念」という気持ちになりますが、「軍艦島デジタルミュージアム」に行けば、島について深く知ることができ、次回クルーズへの期待が、更に高まるのではないでしょうか?

「軍艦島デジタルミュージアム」の記事も書いていますので、ぜひそちらもご覧ください!

2024年10月 軍艦島を舞台にしたドラマが始まります!

TBS 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』が10月から放送決定!舞台は端島(軍艦島)です。
このドラマは、昭和の高度経済成長期の1955年と現代を結ぶ70年にわたる愛と青春友情、そして家族の壮大なヒューマンラブエンターテインメント !主演は神木隆之介さんです。ドラマで描かれる軍艦島の壮大なロケーションを活かした映像美など、今から楽しみですね。
軍艦島や撮影地の歴史を知ることで、ドラマの魅力がますます深まることでしょう。

ぜひ一度、軍艦島へ足をお運びください!

今回訪れた場所

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この記事を書いた人

MILKMILK
#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)

実際に訪れてみたくなるような「人を動かす写真」をお届け!

「観る観光地」だけでなく「人が写って映える観光地」の提案+美味しい物も♪プロカメラマンならではの視点で、今まで気付かなかったスポットも発掘していきたいです。地域活性化を目指す市民グループ「諫早もりあげガールズ」のメンバー。見知らぬ猫も、エサ無しで惹き寄せる特技アリ。プロフのフルーツバス停の写真は、ゆうちょの全国カレンダーに採用されました。
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