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ミケル・バルセロ展

ミケル・バルセロ展-1

《海のスープ》1984年 作家蔵

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土、穀物、海草といったユニークな素材とさまざまな技法を用いて実験的な芸術作品を作り続けているスペイン美術の巨匠・ミケル・バルセロの、日本初の大規模展覧会が長崎県美術館で開催中です。

自身が見たもの・感じたものを独自の視点で表現した作品の数々は「実験的」。

だけれど、おおらかで自由な雰囲気に溢れています。


その表現方法は多岐に渡っており、絵画だけでなく、彫刻、陶芸、そして自らが演者となってパフォーマンスを行う映像も。

また作風も(一見同じ芸術家が手がけたものとは思えないほど)多岐に渡っているのですが、すべての展示を見終えたあとに振り返ると、共通する世界観のようなものを感じることができるから不思議です。

気になった作品をいくつかご紹介します。

【長崎展では、一般の方も6つの作品が撮影OKです(廊下3点、展示室内3点)】

 

海のスープ 【撮影OK】

海のような、宇宙のような混沌とした世界をかき混ぜるビビッドカラーの丸太が印象的。

撮影OKの作品なので、こんな風にトリックアートっぽく写すのもオススメです。

よくみると海草など実際に海にある素材が埋め込まれています。

作品に有機物を使うのは朽ちていくので勇気がいりそうですが、バルセロは朽ちていく過程も表現のひとつだと捉えているそうです。

その「おおらかさ」に、なんだかホッとします。
 

アフリカへ

スペイン・マジョルカ島出身のバルセロはニューヨークなどの都市圏で名声を得たあと、新天地アフリカへ。

アフリカでは現地の人たちとともにアトリエを建て、いわゆる「ヨーロッパ人が見たアフリカ」ではなく、一生活者として暮らしながら作品を作りました。
 

泥水を垂らし、風を絵筆代わりに

こちらは川のほとりでスケッチブックに泥水を垂らし、風を絵筆代わりに、自然の流れに任せて描いた作品。

現地の素材を使って描かれた作品は、匂いまで漂ってきそうなリアルさです。

虫食い穴のある本

アフリカでのバルセロの作品は、その世界を実際に形づくっている土、穀物、海草などを用い、時にはシロアリに食い破られた紙をカンバスに、アフリカの大地を表現しています。

「時間とともに朽ちていく過程も芸術表現」
 

サハラ砂漠の砂嵐を表現したこちらの作品は、間近で見るとゴツゴツとした立体感や使われている素材(米粒など)のユニークさを楽しむことができるし、離れて全体を見てみると作品に込められた静かなメッセージが浮かび上がってくるような気がします。
 

陶芸《私の馬の尻》

アフリカで暮らして以降、陶芸作品も手がけるようになったバルセロ。

私がグッと来たのは、乾いた肌にリアルでなまめかしい馬のお尻を表現したこちらの作品。

「現在、新型コロナの影響で海外旅行に行きにくい状況ですが、作品を通して世界を旅した気分になっていただけたら」
(学芸員 稲葉さん)

 

闘牛の世界

アフリカから一転、次はスペインのシンボル、闘牛に関する作品コーナー。

こちらの作品は、バルセロ自身の身体の動きをダイナミックに感じることができます。

「こちらは自分を闘牛士(マタドール)に、カンバスを闘牛場に見立て、おそらくカンバスの中心でぐるぐる回りながら描いた作品なんですよ」と学芸員の稲葉さん。
 

小波のうねり

横幅約4m。今回の展覧会で最も大きいサイズのこちらの作品は、真上から見た海面を描いたもの。

横から見るとピンと波が立つ様子の立体感がスゴイ!!

と思ったら、なんと天井に固定したカンバスを下から見上げながら描いた作品なんですって!!

(描いているうちに天井から絵の具がボタボタ落ちてきて大変なことになりそう!なんて無粋な心配をしてしまいました)
 

ブリーチペインティング

こちらは漂白剤の科学反応を用いて肖像を浮き上がらせた「ブリーチペインティング」の作品。

絵の具を乗せる(プラス)のでなく、脱色(マイナス)することで人間の本質を掴んで焙り出すような、ちょっと怖くて不思議な作品群です。
 

自らが演者となってパフォーマンスを行う映像作品も

バルセロ自身は作品について多くを語ることはなく、あくまで「見る人の感性に委ねる」というスタンス。

だから素材や技法のユニークさを自由に楽しむのも自由。

そこに込められたメッセージをあれこれ想像して楽しむのも自由。



実は学芸員の稲葉さんから取材メモ16ページにも及ぶ説明を伺ったので、まだまだ紹介し足りないのですが…これ以上語るのは野暮かもしれません。

この続きは、あなた自身の感性で、自由に見て感じてください。

 

作品と一緒に写真を撮ろう!!

長崎展では、6つの作品が撮影OK(廊下3点、展示室内3点)。

学芸員の稲葉さん(左)と広報担当の古賀さん(右)。撮影OKの作品を挟んでポーズ。
 

長崎のシンボル・稲佐山をバックに撮影したり、一緒に写り込んだりして楽しんではいかが? 

ところで……私が一番びっくりしたのは、バルセロ展のポスターに使われているこちらの絵。

宇宙的・SF的なイメージの絵だと思っていたのですが…なんとまぁ、そういうことだったのか!!!!!

多くは語りません。ぜひ実際に会場で見ると、その意外さに驚くかも。。。



作品はすべて © ADAGP, Paris &JASPAR, Tokyo, 2021

PickUp

ミケル・バルセロ展

会期:2021年6月10日(木)~7月25日(日)
開館時間:10:00~20:00(最終入場19:30)
休館日:6月28日(月)、7月12日(月)
会場:長崎県美術館 企画展示室
観覧料:一般1,200円/大学生・70歳以上 1,000円/高校生以下 無料

長崎展では、バルセロの初期から現在にいたるまでの93作品がずらり!!

詳細はこちら(長崎県美術館HP)

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