爆竹バンバン!チャンコンチャンコン、ドーイ!ドーイ!長崎のお盆文化【精霊流し】とは?
子どもたちの夏休みで帰省しています。私は今、東京の実家からこの記事を書いています。
今ごろ長崎市の花火屋さんにはもちろん、スーパーにも大量の爆竹の赤い箱が並んでいるんだろうなぁ。
コンビニや、100円ショップでは耳栓が目立つ場所に陳列されているんだろうなぁ、
精霊船の仕上げに取り掛かっているお家も多いんだろうなぁ~と長崎に思いを馳せています。
全ては毎年8月15日に行われるお盆の【精霊流し(しょうろうながし)】の準備。
お盆に爆竹?耳栓?なんて不思議に思いますよね。
掲載日:2025年08月15日
ライター:ACO
大量の爆竹があっという間になくなる!
長崎ではお盆が近づくと一般的なスーパーにも大量の爆竹が並びます。
【精霊流し】というさだまさしさんの歌をご存知でしょうか。
耳にしたことはあっても、実際に長崎の精霊流しがどういうものなのかを知っている人は県外の方は少ないかもしれません。
私は長崎に引っ越してくる前までは【精霊流し】とは、響きが似ていることもあり【灯籠流し】のようなものなのかな?
と思っていました。さだまさしさんが歌う【精霊流し】の歌の雰囲気もしめやかで厳かな【灯籠流し】に合っているし・・・。
でもそれは勝手な思い込み!大きな間違い!
バンバン!と大量の爆竹が!!
【精霊流し】と【灯篭流し】はいずれも死者の魂を弔って送るというお盆の伝統儀式ではあるけれど、供養の仕方は全く違っていました。
精霊流しは初盆を迎える故人の遺族が「精霊船(しょうろうぶね)」と呼ばれる船に故人の霊を乗せて、船を曳き、終着点である「流し場」まで運んでいきます。
※流し場では船を流すのではなく、解体します。昔は実際に海に流されていましたが、1871年(明治4年)に禁止されました。
精霊船には大きく分けて2種類あり、少人数を供養するための船を「個人船」
町内や組織単位で大人数を供養するための船を「もやい船」といいます。
大きさも様々で、十数人もの曳き手が必要な大きなものから、2~4人ほどで曳けるもの、手で持っていけるような小型のもの、そして大切な家族の一員であったペット等のとても小さな精霊船も見かけます。
サイズに関係なく、どの船も遺族の方の個人への思いが感じられるものばかりです。
お盆が近づくと、船を準備している様子をあちこちで見かけます。
8月15日の夕方、あちこちから精霊船が曳かれ市内を歩きますが、精霊流しをはじめて見た他県民にとってはビックリ仰天!!!
まず、耳栓なんて大げさな・・・なんて思って用意をしなかったことを後悔するほどの耳をつんざくような爆竹音!
それもそのはず、ず~っと爆竹の音が飛び交っていて、その音は止むことがありません。
爆竹は龍踊りにも欠かせないものなので、爆竹の音には長崎くんちやランタンフェスティバルで慣れたと思っていたのに、精霊流しで使われる爆竹の量はその比じゃなかった!
精霊流しを見物する際には、耳栓を準備しておくと安心です。
精霊流しで爆竹を鳴らすのも、爆竹には中国では魔除けの意味があり、精霊船が通る道を清めるためなのです。
それにしても一度に火を付ける量がすごい・・・!
ちなみに 爆竹や花火の大量のゴミはどうなるの?
精霊流しがまるで夢か幻だったかのように翌日の朝には綺麗に片付いているんです。翌朝びっくりしますよ!
そもそも、故人の霊を弔い、極楽浄土へと送るための行事を遺族でもない関係のない者が見物なんてしていいのか?という疑問も浮かんでくるのですが、それは全く問題ないのだそう。しかしながら、関係ない人が精霊流しに乗じて爆竹や花火をすることはやめましょう。
長崎の人、観光客も含めて、長崎の町全体で故人を見送っているような雰囲気があります。(精霊流しの様子はテレビでも放送されるんですよ。ニュースで特集されるだけではなく、解説付きのテレビ番組があるんです。)
精霊船は提灯や花飾りで彩られ、故人が好んでいたものや、趣味だったことを表現したり、お供え物を乗せたりと、趣向が凝らされています。ご遺族の故人を想う気持ちが溢れているんです。
私が実際に見て忘れられないのは、長崎生まれの豪華客船『ダイヤモンド・プリンセス』の建造に関わったというお父様の為に造られた精霊船。手造りの船で、その姿はダイヤモンド・プリンセスそっくり!もうその船を目にしただけで、故人がどれだけその仕事に誇りを持っていたか、どれだけ愛情を持っていたかが伝わってきたし、故人が遺族からどれだけ愛されていたのかもわかりました。
『チャンコンチャンコン』と鐘を鳴らし、『ドーイ、ドーイ』と掛け声をかけ、大量の爆竹や花火に火を付け煙の中を進んでいく精霊船。
一見すると何かのお祭りだと勘違いしてしまいそうな騒ぎの精霊流しですが、賑やかさの裏には、遺族が故人を極楽浄土へ送り出す別れの悲しさも伝わってくるんです。
故人とのお別れを盛大に見送る…
長崎人の心意気を感じずにはいられない!ぜひ一度、精霊流しを体感してみてください。
8月15日、長崎市の中心部では交通規制が行われますので、ご注意ください。
この記事を書いた人

#ナガサキタビブ 部員(公式ライター)
長崎暮らし新参者の目線で彩りあふれる魅力をふんだんにお伝えします。
平日ひとり旅、週末かぞく旅。旅するように長崎に暮らす2児の母。
カメラ片手に街歩きと食べ歩きが大好き。
東京から福岡、長崎へと西へ西へとやって来て、長崎暮らしはまだまだ新参者。
長崎って面白い!長崎って不思議!
長崎って美味しい!長崎って美しい!
長崎のいちファンとして彩りあふれる魅力をふんだんにお伝えします。
